2015年10月19日月曜日

資本論(第1巻)第4篇 相対的剰余価値の生産 第10章 相対的剰余価値の概念

第十章 相対的剰余価値の概念

【感想】:知恵や努力によって生産力が高まった結果新たに生み出された富は、相応に分配されるのが正義というものだろ!。そういう智恵を生み出すためにマルクスの理論は使えそう。

剰余価値は、労働日から必要労働時間を差し引いた時間になされた労働によって創出された価値である。相対的剰余価値は、必要労働時間が短縮されることで生み出された時間になされた労働によって創出された価値である。つまりこの場合には必要労働時間が短縮されて新たな必要労働時間が設定されることになる。このことが可能になるのは、労働の生産力が上昇することによって、回り回って労働者が自分自身を再生産するのに必要な貨幣量が減少する、言い換えると労働力の価値が減少する或いは必要労働時間が短縮されるからである。相対的剰余価値は、労働日を変えずに生み出される剰余価値である。これにたいして、労働日の延長によって生産される剰余価値を絶対的剰余価値と呼ぶ。
「労働の生産力を高くし、そうすることによって労働力の価値を引き下げ、こうして労働日のうちのこの価値の再生産に必要な部分を短縮するためには、資本は労働過程の技術的および社会的諸条件を、従って生産様式そのものを変革しなければならないのである。」
しかし、資本の意識としては、労働者の必要労働時間の短縮ではなく、資本家同士の競争にあるのだが、これについてはまだここでは考察すべきではない。しかし今の時点において次のことだけは明らかなことである。「即ち、競争の科学的な分析は資本の内的な本性が把握されたときにはじめて可能になるのであって、それは、ちょうど、天体の外観上の運動が、ただその現実の、といっても感覚では知覚されない運動を認識した人だけに理解されうるようなものだ、ということである。とはいえ、相対的剰余価値の生産の理解のために、また、すでに得られた結果だけにもとづいて、次のことを述べておきたい。」
ある資本家がある商品について、労働の生産力を向上させれば、その商品の個別的価値は低下するとともに社会に供給する量は増大する。従って、その商品の価格を今売れている価格(社会的価値)とまでは言わないが、個別的価値より高く売ることができれば、剰余価値は増大する。即ち特別剰余価値が生じる。つまり「どの個々の資本家にとっても労働の生産力を高くすることによって商品を安くするという動機はあるのである。」
改良された生産様式を用いた資本家は、はじめは特別剰余価値を享受できるが、この新たな生産方式が一般化されればこの剰余価値もなくなり、その商品の社会的価値も低下する。「こうして、この全過程を経て最後に一般的剰余価値率が影響を受けるのは、生産力の上昇が必要生産手段の生産部門をとらえたとき、つまり、必要生活手段の範囲に属していて労働力の価値の要素をなしている諸商品を安くしたときに、はじめて起きることである。」
商品の価値も労働力の価値も労働の生産力に反比例する。相対的剰余価値は労働の生産力に正比例する。「それゆえ、商品を安くするために、そして商品を安くすることによって労働者そのものを安くするために、労働の生産力を高くしようとするのは、資本の内的な衝動であり、不断の傾向なのである。」


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